シナリオ「杓ヶ浦の怪物」、3. シナリオノート #2
【メイン NPC】
「高崎」:オカルト雑誌執筆者。
【PC】
「花房」(PC1)=花房、或いは、編集者。
「蛭子」(PC2)=蛭子、或いは、オカルト雑誌執筆者で高崎の親友か、高崎の親友で東京在住の者。
「岡田」(PC3)=被害者と同郷出身の大学時代の恩師か、高崎の唯一の近親者など、高崎にとって信用に足る人物。
【情報】
コロンで繋がれた平文の情報は、探索が必要ない明白な事実。それ以外には探索を要する。
●:ゲームシステムに関わる事項。
◆:アンロックするとアチーヴメントとなる情報。
【前回終了時の状況設定】
杓ヶ浦探索・二日目の雨降る午後五時、隣町の日出市での探索を終えて旅館・柏嶺に戻ってきた探索者達。午後十一時になれば、伊丹はダイナマイトを持参して珠杓寺の前に現れる手はずとなっている。
伊丹義人(いたみ・よしと)
値 | 【能力値】 STR:11 CON:10 SIZ:13 → HP:12 INT:14 POW:10 DEX:12 APP:9 EDU:10 SAN:25 【ダメージ・ボーナス】0 【武器】:パンチ 35 %、ダメージ D3+db 〈杓ヶ浦の知識〉:60。 |
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◆ダイナマイト:変人の伊丹から譲り受けることが出来る 12 本のダイナマイトからなる束。マッチやライターで容易に点火することが出来る。
値 | n 本のダイナマイトを用いる時に珠杓宮の洞窟を落盤させることの出来る確率は、n x 10 %。 戦闘に用いる場合、ダイナマイト 1 本につき、次のデータを用いる(p.71)。 【基本命中率】投擲 【ダメージ】5D6/2 【基本射程】投擲 【1 ラウンドの攻撃回数】1/2 【装弾数】使い捨て 【耐久力】1 |
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【ここからのプロスペクト】*1
杓ヶ浦への詮索を極度に深めてしまったため(〈詮索の深度〉71)、黒田はこれから、柏嶺で休む探索者を杓ヶ浦の混血者共を用いて襲うことに決めた。彼らは、日の沈んだ頃合いを見計らってやってくるだろう(具体的には午後十時)。探索者達が珠杓宮に連れ去られる時間帯次第では、伊丹が白装束共の姿を目撃することもありうる。
【ステージ 3:強襲】
柏嶺(はくれい):杓ヶ浦の旅館。三階建て。
大江慎也(おおえ・しんや):愛知県名古屋市から訪問している工場監督者。55 歳程度。やや大柄な体格、愛煙家。頭髪はやや薄く、地味な背広を着ている。柏嶺に何度も泊まっており、従業員及び杓ヶ浦の人間から或る程度信頼されている。*2
- 杓ヶ浦・南西にある「セントラル」の工場の監督者。セントラルは、建築材の会社。
- 探索者達がなぜ杓ヶ浦を訪ねているかを注意深く聞き出そうとする。普段は穏やかで明るい人物だが、この時には鋭い目を向けている。
- 大江は、この日一日だけ柏嶺に泊まることにしている。探索者達と同じく、三階に泊まっている。
- ◆実は、政府の杓ヶ浦対策室に所属する調査員。杓ヶ浦対策室は、富山に所縁のある代議士で構成される政府の非公開組織。「大江」という名前も、対策室に与えられた偽名。
値 | 『インスマスからの脱出』p.55、ルーカス・マッケイのデータを用いる。但し、大江慎也は銃を所持していない。 【能力値】 STR:13 CON:12 SIZ:14 → HP:13 INT:15 POW:14 DEX:12 APP:12 EDU:15 SAN:70 【ダメージ・ボーナス】D4 【武器】:パンチ 65 %、ダメージ D3+db 組み付き 50 %、ダメージ 特殊 キック 45 %、ダメージ D6+db 〈杓ヶ浦の知識〉:45。 |
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土田正士(つちだ・まさし):柏嶺のカウンター係。
- 黒田の言いなりだが、必要以上のことを知らされていない。
雪村弘喜(ゆきむら・ひろき):柏嶺の近辺にある交番(「川中交番」)に勤めている巡査。*3
杓ヶ浦の落とし子(しゃくがうらのおとしご):異形のけだもの。一体が柏嶺の事務所に潜んでいる。
値 | 【能力値】 STR:3D6+5 18 CON:3D6 12 SIZ:3D6+6 19 → HP:16 INT:2D6+3 9 POW:2D6 7 DEX:2D6+3 14 【ダメージ・ボーナス】:+D6。 【武器】:かぎ爪 25 %、ダメージ 1D6+db。 【装甲】:1 ポイントの厚い皮膚。 【正気度喪失】初めて見るなら 2/D6+1。そうでないなら 0/D2。 |
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3 人の杓ヶ浦の人(さんにんのしゃくがうらじん):白い衣を頭から纏った異形の人間。
値 | 【能力値】 STR CON SIZ DEX POW HP 神部 11 13 12 11 9 12 甲斐 12 12 14 10 10 13 青井 12 11 15 11 10 13 【ダメージ・ボーナス】+D4 【武器】:こぶし/パンチ 45 %、ダメージ D3+db。 組み付き 25 %、ダメージ 特殊。 |
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【シークエンス】
- 柏嶺のカウンター係は、探索者と会うと、今晩の食事は午後七時半の予定であること、大浴場は今日は午後九時半で閉めてしまうことを伝える。これらは、探索者達を柏嶺に足止めする為。
- 大江は、チャンスがあれば探索者に接触しようとしてくる。
- 午後七時半からの食事は、柏嶺二階の大宴会場で行われる。この時、現在柏嶺に泊まっている客が、探索者達と大江の二組だけであることが分かる。またこの時、大浴場が午後九時半で閉まることがアナウンスされる。
- 午後八時半になると、柏嶺の裏手に、黒田万里子が黒塗りの車でやって来る。
- 午後十時、探索者の部屋の内線電話が鳴る。これの相手は土田で、警官の雪村が昨日今日と起きた強盗事件について事情を聞きたいと言っていると告げる。探索者が承諾すると、土田と雪村が探索者の部屋を訪れる。更に、雪村が場所を変えようと提案し、全員で一階の事務所に移動する。
- 事務所は二つの部屋からなっているが、それらはパーティションで区切られており、始めは二つ目の部屋を見ることが出来ない。但し、そちらの部屋に灯りが付いていないことが見て取れる。一つ目の部屋は、4 x 5 m 程度の広さ。但しファイルラックやテーブルなどで占領されており、手狭。この部屋には他に人がおらず、探索者達はテーブルに着くよう言われる。この時、〈聞き耳〉などを行うと、二つ目の部屋に人の気配を感じることが出来る。また、生臭い、土の匂いがすることが容易に気づける。
- 事務所に通されると早々、土田が部屋から出ていく。土田は、事務室の鍵をそのドアの直ぐ近くに置く。雪村も、事件のあらましを伝えた所で席を立ち事務所の外へ出る。そのあと、その鍵を使って外から部屋を施錠し、化け物への合図としてドアを四回素早くノックする。雪村はその鍵をまたそのドアの近くの地面に置く。事務室内部、二つ目の部屋から杓ヶ浦の落とし子一体と、杓ヶ浦人三人が現れる。探索者達は正気度ロールを行う。彼らは有無も言わず探索者達に攻撃を仕掛ける。彼らは、目の前にいる探索者達が全て動かなくなるまで、力任せに攻撃を続ける。しかし事務所の外に逃げた探索者を追うことはない。
- 通常は、探索者達が一つ目の部屋の奥のテーブルに着いていて、杓ヶ浦の落とし子が事務所のドアを塞ぐ形で現れる。落とし子は基本的にドアから離れず、三人の杓ヶ浦人が倒された場合のみ、そこを離れる。化け物を見たことで正気度を喪ったキャラクターがドアの鍵を開けようとする時、現在正気度の 2 倍に対するロールに成功しないと、手が滑って開けられない。
- 事務所の外は、消灯されており、また人払いが成されている。カウンター係の土田も居ない。雪村は、自分の交番に戻っている。雪村は、黒田の命令で探索者達を事務室に入れるよう言われているだけで、自ら何かをすることはない。
- 三階の大江は、物音を聞いたとしても不審に思うことなくテレビを見て過ごしている。
- 事務所の中が静かになると、頃合いを見計らって黒田は、鍵を使って事務室のドアを開け、朗唱を行って化け物をなだめる。この時、また新たに 3 人の杓ヶ浦人を連れている。また命令を下して倒れた探索者達を珠杓宮に運ばせる。
【ディレクション】
【ステージ 4:地に開いた蟇口】
関口ツグミ(せきぐち・つぐみ):石牢に囚われている旅行者。全国を放浪していた。
- 天涯孤独の身で東北の出身。千葉の企業に勤めている。
- ◆岩手県・雨里村(つゆさとむら)の出身。雨里村は 5 年前に杓ヶ浦の姉妹町となった。高崎の「杓ヶ浦の荒神信仰」を読み、雨里村に伝わる伝承との類似点の多さに驚き、杓ヶ浦を訪れた。雨里村の伝承の知識から、珠杓宮を容易く見つけることが出来た。
値 | 〈杓ヶ浦の知識〉:35。 |
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黒田万里子(くろだ・まりこ):オホナリヌシの巫女。
値 | 【能力値】 STR:13 CON:15 SIZ:10 → HP:13 INT:21 POW:23(13 人の杓ヶ浦人が、1 人無力化される毎に、1 減る) DEX:14 APP:19 (0) EDU:25 SAN:0 【ダメージ・ボーナス】0 【武器】:ナイフ 55 %、ダメージ D6+db。 【呪文】:金縛りの念動力。(対象と POW の対抗判定を行い、成功するとその動きを、一回行動分だけ止める。マジック・ポイントを 3 消費する。) 【技能】杓ヶ浦の知識 93。 【正気度喪失】真の姿を見るなら、0/D4。 |
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蒲田高明(かまた・たかあき):オホナリヌシの神官。
値 | 【能力値】 STR:17 CON:18 SIZ:21 → HP:15 INT:21 POW:20(13 人の杓ヶ浦人が、1 人無力化される毎に、1 減る) DEX:14 APP:6 EDU:15 SAN:0 【ダメージ・ボーナス】D6 【武器】:こぶし/パンチ 65 %、ダメージ D3+db。 六角の錫杖 50 %、ダメージ D6+db。 【技能】杓ヶ浦の知識 98。 【正気度喪失】0/1。 |
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蒲田無顕(かまた・むけん):蒲田高明の高齢な父。
値 | 【能力値】 STR:10 CON:13 SIZ:13 → HP:13 INT:13 POW:15 DEX:11 APP:11 EDU:15 SAN:10 【武器】:こぶし/パンチ 65 %、ダメージ D3+db。 日本刀 50 %、ダメージ D6+1+db。 【技能】杓ヶ浦の知識 98。 |
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13 人の杓ヶ浦人(じゅうさんにんのしゃくがうらじん):白い衣を頭から纏った異形の人間。
値 | 【能力値】 STR CON SIZ DEX POW HP 斉田(高町) 13 12 12 11 9 12 下山(小川) 12 14 14 10 10 14 赤田(山上) 12 11 15 11 10 13 伊藤(森見) 13 15 13 15 11 14 沢渡(宇野) 9 17 17 12 8 17 佐上(花山) 11 12 12 9 11 12 橋田 11 13 13 9 9 13 【ダメージ・ボーナス】+D4 【武器】:こぶし/パンチ 45 %、ダメージ D3+db。 組み付き 25 %、ダメージ 特殊。 |
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珠杓宮内の様子は以下の通り。
- 奥の間、物置、石牢の三つの部屋が、一本の洞窟に繋がった形になっている。
- 洞窟内は、舗装はされていないものの、何とかまともに走れる程度の幅が確保されている。壁には、一定間隔に電灯が吊されている。
- 奥の間では、異形の姿をした杓ヶ浦人 13 人が、蒲田高明の立ち会いの下、オホナリヌシに絶え間ない合唱を捧げている。身の毛もよだつ地の底の蛙の合唱である。黒田が杓ヶ浦に居る場合、黒田もここに居る。耳にした健常者は、〈アイデア〉ロールに成功すると、正気度ロール 1/D4。奥の間に入るや否や、蒲田高明(と黒田)が PC 達に気付く。血と肉の浴槽から発した匂いが立ちこめている。
- 石牢には、昨日攫われたばかりの関口ツグミが捕らわれている。
- 物置には、武器代わりになる鶴橋が一本投げ出されている。そのほかに、灯油の缶が見つかる。
値 | 貫通が可能である以外は手斧の能力と同じ (p.70)。 【基本命中率】20% 【ダメージ】D8+2+db 【基本射程】タッチ 【1 ラウンドの攻撃回数】1 【装弾数】―― 【耐久力】12 |
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- ◆物置には、書き物机と記録の帳面が置かれている。持ち出すことで、杓ヶ浦の事実(上表)が全て明らかになる。
- 入り口から 20 m 進んだ所に、門番代わりの杓ヶ浦の落とし子がおり、人の出入りを瞠っている。これを始めて目にする場合、正気度ロール 2/D6+1。始めてではない場合は 0/D2。
- 珠杓宮から外に出ようとすると、蒲田無顕が刀を持って待ち構えている(戦闘)。*5
【クリア条件】
珠杓宮を壊滅させるか、杓ヶ浦から逃げ出すことで、シナリオは終了となる。壊滅させる場合、具体的には以下のいずれかを行うことになるだろう。
- ダイナマイトによる珠杓宮の倒壊。
- 『坤蛙玄孫記』の呪文で杓ヶ浦人を昏倒させ、その全てを縦穴に放り込み、逃走する。
【アチーヴメント項目】
上の◆の項目以外にも、以下をアチーヴメントの対象とする。
- ◆高崎が生還する。
- ◆関口ツグミを解放する。
- ◆ダイナマイトで珠杓宮を封鎖する。
【最大アチーヴメント個数】
5。
【エピローグ】
PC 達は、這々の体で柏嶺前の自分たちの乗用車で杓ヶ浦から抜け出すことに成功した。
【遺された謎】
- 黒田万里子の出自とは?
- 杓ヶ浦の怪物と、東北・雨里村の伝承の関係とは?
【成長】
*1:初回のプレイの進行状況と、第二回の進め方を田島が把握する為に書いた節。
*2:サプリメント『インスマスからの脱出』のルーカス・マッケイに対応するキャラクター。
*3:初回のプレイで西が交番に立ち寄ったが故に創造されたキャラクター。
*4:実際には、かぎ爪の技能値が 25 のままでは殆ど脅威にならないので、45 % 程度にすべきではないかと思った。
*5:この蒲田無顕の登場の仕方はあまりにも唐突であるので、シナリオの使用者は彼をもっと描写すべきである。
*6:【視覚資料】珠杓宮の入り口 20m と、その入り口までの道のりを表すマップ。横 35 マス、縦 38 マス。「deepnight.net | ANAmap: a free RPG Map Editor」 で作成した。