シナリオ「杓ヶ浦の怪物」、2. シナリオノート #1

【メイン NPC
「高崎」:オカルト雑誌執筆者。*1

【PC】
「花房」(PC1)=花房、或いは、編集者。*2
「蛭子」(PC2)=蛭子、或いは、オカルト雑誌執筆者で高崎の親友か、高崎の親友で東京在住の者。富山出身の広報担当者。*3
「岡田」(PC3)=被害者と同郷出身の大学時代の恩師か、高崎の唯一の近親者など、高崎にとって信用に足る人物。*4

【プレストーリー】:高崎に対する PL の親近感がプレイの上で必要と思われたら〈ロールプレイのウォームアップ〉、このシーンをプレイする。*5
ストーリー開始の三ヶ月前、蒼星社『ユピテル』の定例懇親会で、花房・蛭子・高崎が歓談する。
ストーリー開始の二ヶ月前、高崎が岡田を訪ね、歓談する。

【情報】
コロンで繋がれた平文の情報は、探索が必要ない明白な事実。それ以外には探索を要する。
●:ゲームシステムに関わる事項。
◆:アンロックするとアチーヴメントとなる情報。

【ステージ 1:発端】

杓ヶ浦(しゃくがうら):富山の港町。

  • 他の地域からは隔絶されており、ある種忌避されている。


日出市(ひのでし):杓ヶ浦の山を隔てた隣町。富山湾と内陸を繋ぐ要所にあり、昔から栄えてきた小都市。


蒼星社(そうせいしゃ):東京にある出版社。


いきいき富山館(いきいきとやまかん):東京・有楽町にある、富山県のアンテナショップ。*6


留間屋(とまや):いきいき富山館内の高級和食レストラン。*7


柳一平(やなぎ・いっぺい):『ユピテル』の編集長の一人。花房の上司。


井上義正(いのうえ・よしまさ):富山県出身の衆議院議員

  • 杓ヶ浦の実情をさほど把握しているわけではないが、富山県の抱える厄介な問題の一つだと、富山の議員仲間から知らされている。
〈杓ヶ浦の知識〉:7。


皆瀬恂一(みなせ・じゅんいち):井上の秘書。

  • 杓ヶ浦問題の担当者で、杓ヶ浦に関する問題で井上を悩ませずに済ませるのが仕事。黒田から申し入れがあったのち、井上に詳細を知らせることなく、花房・黒田・高崎・皆瀬の四者会談をセッティングした。
〈杓ヶ浦の知識〉:20。


中川恒(なかがわ・あきら):いきいき富山館の従業員。


黒田万里子(くろだ・まりこ):杓ヶ浦の自治体(町会議所)の広報担当者。人間離れした整った容姿をしている。

  • ◆巧妙な化粧で、皮膚の色を常人に似せている。
〈杓ヶ浦の知識〉:93。


高崎優大(たかさき・ゆうだい):『ユピテル』の執筆者。民間伝承系の記事をものしてきた。

  • 日出市の出身。
  • ◆高崎家は、元々杓ヶ浦の出であり、自分にもおぞましいけだものの血が流れているのではと畏れている。
〈杓ヶ浦の知識〉:50。


岡田清美(おかだ・きよみ):高崎優大の大学時代の恩師。*8

  • 高崎優大と同郷の日出市の出身。
〈杓ヶ浦の知識〉:3。


緒華小道(おのはな・こみち):ペンネーム。昔の『ユピテル』の記事「日本の怪奇スポット」の執筆者。現在は行方知れず。


小野章吾(おの・しょうご):殺人課の刑事。否定記事を書かないことにした場合だけ現れる。


新見隆正(にいみ・たかまさ):殺人課の刑事で、小野の相棒。否定記事を書かないことにした場合だけ現れる。

  • 富山の出身。
  • 杓ヶ浦の出身で、警察内の内通者。
〈杓ヶ浦の知識〉:66。


ユピテル』:蒼星社の、文学寄りのオカルト雑誌。


「杓ヶ浦の荒神信仰」(しゃくがうらのあらがみしんこう):高崎優大が『ユピテル』に執筆した白黒 5 頁の記事。

情報 富山県の杓ヶ浦という地方では、珠杓宮(しゅしゃくぐう)という神社があり、「オホナリサマ(オホナリヌシ)」という蛙の顔をしたおぞましい神が祀られている。この神は処女の生き血と魂を喰らう。捧げられた娘の魂はオホバコという小箱に閉じ込められ、それを蛙の神は糧とする。杓ヶ浦の信仰では、この蛙の神は昔々この地方に雨の恵みを齎した神であり、今は力を使い果たして地下で眠っているという。しかし、娘の命を喰らい、生気を取り戻せば、やがてこの現世に再臨し、杓ヶ浦に再び恵みを齎すであろう。怖気を揮うのは、この現代でも杓ヶ浦ではこの伝承に基づいた人身御供が行われているらしいということである。この瞬間にも、人が姿を消しているのだ。
本稿は、執筆者が激撮したオホバコの写真一葉を含む。本稿は、続編を強く示唆する形で閉じられている。
〈杓ヶ浦の知識〉:D6+1。


◆「日本の怪奇スポット」(にほんのかいきすぽっと):1994 年の『ユピテル』に載っている白黒 15 頁の記事。一角が杓ヶ浦の噂話に裂かれている。

〈アイデア〉ロール→〈杓ヶ浦の知識〉:D4+1。


高崎の取材メモ(たかさきのしゅざいめも):「杓ヶ浦の荒神信仰」の原稿データに加え、杓ヶ浦に関する雑考が書き付けられている。

情報 (「杓ヶ浦の荒神信仰」の情報+)
二ヶ月前、高崎は杓ヶ浦に赴いて珠杓宮に忍び込み、恐るべき光景を目にした。それは、謎の集団が礼拝する中、一人の女人[実は黒田万里子]が産卵をする瞬間だった。それは、黒に沈み光を返さない宝球だった。そののち、その集団は人を挽き潰し、血と肉の池を作る。血と肉は空の浴槽を満たしていく。高崎は、その血と肉でその宝球を孵そうとしているのだと直感する。あれがオホバコだ。オホバコは、杓ヶ浦人の卵なのだ。高崎はオホバコを盗み去る。そののち「杓ヶ浦の荒神信仰」を執筆する。オホバコが彼らの手に渡れば、直ぐにでも孵化の儀式を再開するだろう。絶対にこのおぞましいオホバコを杓ヶ浦の手に渡してはいけない。そして、出来ることならば、あのけだものの集団を壊滅させなければならない。
(「杓ヶ浦の荒神信仰」の値+)
〈杓ヶ浦の知識〉:D6+2、
正気度ロール 2/D6+1


高崎の最期の書き置き(たかさきのさいごのかきおき):A4 で一枚の紙切れに、判別しにくい慄えた字で最期の言葉が書き付けられている。

文面 「神社の連中をとめてくれ。ばけものをふやさないで。おれはころされる。そのあいだにシャクガ公式せんにゅう取材」


杓ヶ浦に関する記事(しゃくがうらにかんするきじ):全国紙・地方紙を良く探すと、最大で 3 件見つかる。

〈アイデア〉ロール→〈杓ヶ浦の知識〉:1。


オホバコ:「杓ヶ浦の荒神信仰」で報告された神秘的な小箱。典型的な指輪ケースを二回り大きくし、丸みを帯びさせたような見た目をしている。開けるべき継ぎ目は見当たらない。*9


杓ヶ浦の落とし子(しゃくがうらのおとしご):異形のけだもの。黒田に率いられ、三匹が東京に潜んでいる。

【能力値】
STR:3D6+5  18
CON:3D6   12
SIZ:3D6+6   19
INT:2D6+3  9
POW:2D6   7
DEX:2D6+3  14
【ダメージ・ボーナス】:+D4。
【武器】:かぎ爪 25 %、ダメージ 1D6+db。
【装甲】:1 ポイントの厚い皮膚。
【正気度喪失】初めて見るなら 2/D6+1。そうでないなら 0/D2。


【シークエンス】

  • 夜、柳が、花房に、皆瀬から電話が来たことを伝える。花房が皆瀬と話をする。内容は、最新号の『ユピテル』に載った記事に関して、それを否定する記事を更に書いて欲しいということ。この件に関して、執筆者の高崎、担当編集だった花房、皆瀬、そしてこの件を井上に申し入れた黒田の四者で話したいとのこと。会う日時は、明日の朝。場所は、いきいき富山館。
  • 花房は、高崎にそのことを伝える。高崎は怯える。
  • 編集長の柳は、雑誌としては否定記事は載せたくないが、最終的には花房に任せる旨を花房に言う。
  • 花房、高崎、井上、黒田の四者会談。高崎は黒田を目の当たりにして、殆ど狼狽して口もきけない有り様である。黒田は美しい声で、風評被害に繋がるから、と否定記事を書くよう求める。また、高崎に探り・脅しを入れる目的で、高崎にちゃんとした取材をしたのか、と詰問する――高崎は、(実際には取材しているのだが)取材していないと言葉を吐き出す他ない。高崎は正気度ロール2/D3+2 を行う。高崎は、花房に懇願するような視線を度々投げ掛ける――もし、花房と高崎が中座して話し合うなら、高崎が、小さな声で、書かないと殺される、と呟いていることが分かる。PL は、否定記事を書くことも書かないことも選べる。花房は、〈杓ヶ浦の知識〉を 1 % 得る。この四者は、互いの連絡先を確認したことになる。
  • 夜、高崎は、花房、執筆者仲間の蛭子に、それぞれ電話をする。内容は、不審な影を感じる、とか、尾行されている気がする、といったこと。高崎は、岡田にも電話を掛けるが、岡田は留守で電話には出られない。

【否定記事を書かない場合】

  • 否定記事を書かないことにした場合、高崎は深夜襲われ、殺される。これは杓ヶ浦の落とし子の仕業。(殺される前に、高崎は、オホバコと取材メモを発送している。)
  • 翌日夕方、警察から連絡があり、直前に連絡を受けていた者として花房・蛭子は、それぞれの任意の場所で事情聴取をされる。この時、刑事の小野と新見に会う。花房・蛭子は、正気度ロール0/D3 を行う。また、岡田も事情聴取を受ける。岡田は正気度ロール 1/D4 を行う。小野は、新見に強く影響され、花房・蛭子・岡田を犯人として疑っている。新見が怪しい動きを取っていることが伺われる。また、調べるとそれが判明する。
  • その次の日、蛭子の家には奇妙な小包(オホバコと、それに添えられた高崎の最期の書き置き)が、そして岡田の自宅には封筒入りの USB メモリー(高崎の取材メモ)が届く(宛先の取り違え)。いずれも、差出人は高崎となっている。USB メモリーには、『ユピテル』の情報が含まれている。
  • また、花房は、黒田から電話の連絡を受ける。以前と変わらぬ美しい声で、再び否定記事を書かないかと誘う。花房は〈アイデア〉ロールに成功すると、杓ヶ浦を取材させて貰うという案を思い付く。
  • このあと、黒田は 5 日間で、新見からの内通情報によって、蛭子にオホバコが送られていることを突き止める。6 日目になると、蛭子の自宅が荒らされ家人が殺害される(バッドエンド)。

【否定記事を書く場合】

  • 否定記事を書くことにした場合、高崎は深夜襲われない。
  • 高崎は否定記事を執筆しているあいだに、度々、否定記事は矢張り書くべきではないのではないかと、大いに迷っている旨を花房に申し入れたり等する。
  • そののち、高崎は夜、空き巣に入られ、部屋を荒らされる。高崎は正気度ロール 3/D6+3。(オホバコは高崎が肌身離さず携帯していたので無事。)
  • そのあと直ぐ、高崎は、憔悴しきった様子で花房に電話を掛ける。この時、花房は蒼星社のビルの一室で、蛭子と打ち合わせ中であった。高崎は蒼星社を訪れ、二人に事態を打ち明ける。高崎の取材メモを呼んだのと同様の効果が現れる。オホバコを譲り受ける。二人は直ぐにオホバコを隠す。高崎は、こちらから杓ヶ浦に赴いて神社を襲うことを提案する。
  • その直後、打ち合わせをしていた部屋が強い調子で叩かれ、割れる。これは激発した杓ヶ浦の落とし子の仕業。到頭怪物が場所を問わず現れてしまったことと、間近に見てしまったことで、高崎は正気度を喪う 4/D10+3。また、怪物を目撃してしまった者は正気度を喪う 2/D6+1。怪物を目撃しなかった者は 0/D3。高崎が狂気に陥った場合は、高崎は失神するか、自殺を図るか、或いは狂気に陥って目に付く限りの鏡を割るか、身近にいる者を殺そうとする。
  • 編集室/打ち合わせ室の電話、或いは花房の携帯が鳴る。相手は黒田。どのような記事になるのか、予め知りたいから、今から 3 日以内に予稿を渡すように、などということを言ってくる。相手が黒田であることを知ると、高崎は、花房に、取材旅行として杓ヶ浦を探訪させて貰いたいと言ってくれ、と言う。

【杓ヶ浦探訪について】

  • 杓ヶ浦で怪物が生まれようとしているのを阻止する為に訪れる。
  • 改めて取材をする為だと称すれば、黒田はそれを拒めず、寧ろ、杓ヶ浦の「良い所」を見せねばならなくなる。
  • ◆高崎が生存している場合、杓ヶ浦に連れて行くことが可能。高崎は、始め、忌まわしい風習を暴露する記事を書けばそれでよいと思っていた。そのため、もはや杓ヶ浦に行こうとは毛頭思っていなかった。しかし、実際に黒田が現れたことにより、杓ヶ浦の対応が強硬であることを看て取り、寧ろ、こちらから攻撃を仕掛けることに賛成的になる。

【最大アチーヴメント個数】
4。

【ステージ 2:杓ヶ浦探訪】

日出市(ひのでし):杓ヶ浦の山を隔てた隣町。富山湾と内陸を繋ぐ要所にあり、昔から栄えてきた小都市。杓ヶ浦との往来は、タクシーで片道三十分。


御積山(ごしゃくざん):「オンツミ山(やま)」の名前で知られている山。珠杓寺の裏手の山のこと。*10


柏嶺(はくれい):杓ヶ浦の旅館。


珠杓宮(しゅしゃくぐう):杓ヶ浦にあるはずの神社。

情報 珠杓宮は、珠杓寺の墓地の坂を成している御積山の裏手の洞穴の中にある。見当を付けた上で探索をすれば、その入り口を 1 時間で発見することが出来る。或いは、見当を付けた上で双眼鏡を使えば 3 時間で発見することが出来る。
珠杓宮を発見すると、〈杓ヶ浦の知識〉:D10。
珠杓宮を発見すると、〈詮索の深度〉:D10+15。


珠杓寺(しゅしゃくじ):杓ヶ浦にある仏寺。*11


柳田通り(やなぎどおり):杓ヶ浦の一区画。*12


グリーン通り(ぐりーんどおり):杓ヶ浦の商店街。


みどり小学校(みどりしょうがっこう):竹田和美が通っていた小学校。*13


楢川町(ならがわまち):杓ヶ浦の一区画。


北村病院(きたむらびょういん):杓ヶ浦で唯一の総合病院。また、唯一の産婦人科がある。


日出メンタルクリニック(ひのでめんたるくりにっく):日出市の精神病院。


北村正昭(きたむら・まさあき):柏嶺のオーナー。


蒲田無顕(かまた・むけん):珠杓寺の住職。

情報 本堂でお話を聞くことになる。基本的には、通り一遍のことしか喋らない。オホバコのことを聞くと、本堂の宝物棚を開けて示し、本来ここにあるはずだったのだが、第二次世界大戦の混乱期に、何ものかによって持ち去られたと語る(盗まれた時期は、高崎に言及しない為に恣意的に操作されている)。無顕自身もオホバコを目にしたことはないと言う。〈目星〉・〈アイデア〉などのロールに成功すると、宝物棚に和綴じ本の書籍があるのが目に付く(『坤蛙玄孫記』)。
〈杓ヶ浦の知識〉:D6。
〈詮索の深度〉:D6。


蒲田高明(きたむら・たかあき):蒲田無顕の息子。


北村譲二(きたむら・じょうじ):北村病院の理事長。多忙なので会うことは出来ない。


竹田和美(たけだ・かずみ):最近神隠しにあった少女。


竹田恵子(たけだ・けいこ):竹田和美の母。


三和芳子(みわ・よしこ):竹田和美の担任。

情報 竹田和美は明るく陽気な女の子だったが、或る日の下校途中に姿を消した。警察の捜査の手ぬるさには腹が立つ。大凡の失踪場所には、下校友達の児童から情報が得られており、見当がつくものの、それ以上どうすることも出来ない。竹田恵子と三和芳子がそれぞれ失踪場所と見做している箇所にはぶれがある。竹田和美は、下校途中に「冒険」(盛大な道草)をするという遊びが好きだったことが分かっている。竹田恵子は、度々、娘が寺のお墓や、その裏手の山の話を楽しげにするのを聞いていた。
竹田恵子・三和芳子で合わせて〈杓ヶ浦の知識〉:D10+4。
竹田恵子・三和芳子で合わせて〈詮索の深度〉:D10+2。


甲斐弘紀(かい・ひろのり):日出メンタルクリニックに入院している患者。


廣田玄喜(ひろた・げんき):甲斐弘紀の主治医。

情報 日出市との境で発見されたため、杓ヶ浦ではなく日出市の病院に収容された。或る日の夕方、後ろから殴られて気を失うと、気が付いたら裸にされた上で薄暗い洞穴の中にいた。周囲には自分と似た境遇の人間が何人か居た。彼らが順番に連れ出されると、その都度叫び声が聞こえた。自分たちを捕らえていた連中は、頭から白い布で全てを覆った奴らで、泥臭い匂いがした。自分が連れ出される段になり、自分を取り押さえている白頭巾が一人だけだったので勇気を振り絞ってその手を振り払って走った。交差点と思しき所で選んだ道の運が良かったのだろう、体を何度もぶつけながら走ると、外に出た。すると、直ぐまた下り坂。薄明かりの中で見えたのは立ち並ぶ墓石。無我夢中で走っている内に何かに足を取られて転倒、そのまま気を失った。翌日、昏倒しているのを日出市の住人に発見され、病院に収容された。洞穴の中で聞いた蛙の集団の鳴き声が頭にこびりついて離れない。
〈杓ヶ浦の知識〉:D10+8。
〈詮索の深度〉:D10+6


加勢浩太(かぜ・こうた):8 年前に神隠しにあった男性。


加勢兼裕(かぜ・けんゆう):息子を神隠しで喪い、失意に暮らす老人。グリーン通りに住んでいる。

情報 加勢浩太は、加勢兼有にとって生きる楽しみだったが、失踪してしまった。一部では神隠しにあったと噂されていて、その噂は加勢兼有の耳にも入っているが、加勢兼有自身は、神隠しとして片付けてしまうのを拒んでいる。加勢浩太には妻が居た(由美。旧姓:三品。杓ヶ浦の人間)。そして、二人は子をもうけたのだが、その子は手足を始めとして体格に著しい発達障害が見られ、体色に所々はっきりと黒が混じるという奇形だった。その事実に妻は離婚ののちに自殺。加勢浩太も激しい抑鬱の症状に悩まされた。しかし、加勢浩太自身はその苦境から脱しようとし、新たな職を日出市で見つけた所で、失踪してしまった。従って、その動機には大きな疑問が残る。失踪する直前は、杓ヶ浦の町を失意から徘徊する癖があったことが分かっており、特に、寺の近辺で頻繁に目撃されていた。
〈杓ヶ浦の知識〉:D10+5。
〈詮索の深度〉:D10+2。


伊丹義人(いたみ・よしと):楢川町に住む変人・狂人。おんぼろの小屋紛いの住居に住んでいる。こちらの話に取り合おうとしない。

情報 PC の〈杓ヶ浦の知識〉が 50 以上、〈詮索の深度〉が 45 以上だと、話し相手になってくれる。伊丹は、娘夫婦を神隠しで喪ったのち、気が触れた振りをして密かに杓ヶ浦の秘密を探っていた。結果、珠杓宮の場所を突き止めており、杓ヶ浦人達が暗躍して生け贄を捧げていることを知っている。これを止めるには実力行使しかないと、密かにダイナマイトを取り寄せた。PC が伊丹と会話を成立させた夜、伊丹は杓ヶ浦人の襲撃を受け、連れ去られる。翌日、住人の様子、或いは事情の聴取によって前日の夜に伊丹の家の近くで大騒動があったことを知ることが出来る。伊丹の住まいに行くと、書き置きを発見することが出来、ダイナマイトを入手できる。
伊丹と会話が成功すると、〈杓ヶ浦の知識〉:D6。また、まだ開示されていない真実が開示される。
伊丹と会話が成功すると、〈詮索の深度〉:D10+5。


関口ツグミ(せきぐち・つぐみ):東北からの旅行者。柏嶺に泊まる。すれ違いばかりで会うことが出来ない。


暴漢(ぼうかん):PC 達に怪我を負わせる目的で現れる。

【能力値】
    STR  CON  SIZ  DEX  POW  HP
大場  13   12   12   11   9    12
村中  12   14   14   10   10    14
黒羽  12   11   15   11   10    13
畑山  11   12   13   14   10    13

【ダメージ・ボーナス】+D4
【武器】:こぶし/パンチ 55 %、ダメージ D3+db。
ナイフ 45%、ダメージ D6+db。


『坤蛙玄孫記』(つちがえるげんそんのき):珠杓寺本堂の宝物棚にある和綴じ本。

情報 日本で書かれた漢籍。比較的短く、30 頁からなる。
【内容 1】オホナリヌシの子孫達を一時的に昏倒させる方法が書いてある(呪文の習得)。それは、寒気を呼ぶ不思議な歌を歌うことであり、それを歌う為には 2 ポイントのマジック・ポイントを消費する。また、歌うと、歌い手は正気度ロール 1/D6。これを聞くと、オホナリヌシの並の子孫達は、歌い手の POW との対抗判定の結果、眠りに入ってしまう。これには黒田・蒲田高明も含む。歌い手が勝った場合、黒田・蒲田高明も昏倒する。この効果は、歌い手が歌い続けている限り続く。但し、歌い手は 10 分ごとに 2 ポイントのマジック・ポイントを喪う。
【内容 2】オホナリヌシと杓ヶ浦の知られざる伝承が記されている。オホナリヌシは今も御積山の中の縦穴の底に伏し、生け贄を望んでいること。女が投げ込まれると、おぞましい交雑の結果として黒い宝球(オホバコ)を投げ返すことがあること。オホバコから孵った者は、始めはただの人間にしか見えないが、オホナリヌシの血が濃くなる毎に蛙に近づき、次第にオホナリヌシとの交雑でなくともオホバコ(杓ヶ浦人)を産めるようになること。等が記されている。
3 時間で斜め読みし、概要を掴むことが出来る。この場合、正気度を D3+1 喪う。一つの項目をきちんと読んで把握する為には、1 日掛けて読み、5 x 5 または 3INT のロールに成功する必要がある。但し、三日目には必ず成功する。きちんと読んだ場合、把握の成功如何に拘わらず、正気度を D6+1 喪う(但し、斜め読みの際に喪った分は除く)。【内容 1】 の歌を、既に歌える人から学ぶ場合、半日に一度のロールで 5 x 5、または 3INT を下回ればよい。この時、習得の成功如何に拘わらず、正気度を 1 喪う。
きちんと読んで把握した項目毎に、〈クトゥルフ神話〉:5。
【内容 2】 を把握すると、〈杓ヶ浦の知識〉:20


◆ダイナマイト:変人の伊丹から譲り受けることが出来る 12 本のダイナマイトからなる束。マッチやライターで容易に点火することが出来る。

p.71 参照。


【特別ルール】

  • PC は、〈杓ヶ浦の知識〉の能力値を共有する。(但し、共有の仕方はパーティーの状況に依存する。)
  • 杓ヶ浦の住人から情報収集する度、〈杓ヶ浦の知識〉を 1 だけ増やし、そのあと〈杓ヶ浦の知識〉ロールを行う。これに成功したら、〈杓ヶ浦の知識〉を更に D6 だけ増やす。
  • 〈杓ヶ浦の知識〉が 15 増す毎に、〈クトゥルフ神話〉の能力値が 1 増え、現在正気度が 1 減る。
  • 〈杓ヶ浦の知識〉が 5 増す毎に、1-20 の情報(噂/事実)の内一つが開示される。どれが開示されるかは、PC が実際にどのような質問をしたかに依る。主題が定まっていない場合、ランダムに開示される。
情報番号 真実(詳しい事実)
1 オホナリサマの信仰は、地元民には知れ渡っている。その内容は、概ね「杓ヶ浦の荒神信仰」の通りである。
2 杓ヶ浦には神社があるらしいが、誰も場所を知らない。 御積山の裏手に、洞窟があり、その奥に珠杓宮がある。
3 杓ヶ浦では時々奇形の子が生まれる。多くの場合、屋根裏か地下に閉じ込められている。
4 白い布を被った不審な団体が稀に目撃されることがある。
5 最近、柳田通りの女の子が神隠しにあったらしい。 竹田和美のこと。
6 オンツミ山から、真っ白な服装の人が出てきたことがある。
7 柏嶺のオーナーと、北村病院の理事長は兄弟だ。
8 寺には近づくな。神隠しに遭うぞ。 寺の裏手の神社の近辺だから誘拐されている。
9 3 年前、男性が裸体で発見されたことがある。彼は今、日出市の精神病院にいる。 甲斐弘紀のこと。彼は、今は半ば復調していて多少の情報を得ることが出来る。
10 オホバコは本来寺の宝であるが、目にした者はいない。
11 ここ十年間、寺の家人を見た人が居ないらしい。蒲田無顕は跡継ぎをどうするつもりなのだろうか。 妻は既に故人。養女の黒田万里子は、容姿が変わらないため、人目を避けている。黒田万里子の息子が寺を受け継ぐはずだった。
12 グリーン通りに、息子を神隠しで喪った老人が住んでいるらしい。 加勢兼有のこと。
13 寺の住職は、昔、養女を迎えたらしい。 黒田万里子のこと。
14 杓ヶ浦は、最近東北の町と姉妹町になったらしい。
15 北村病院の産婦人科で、時々赤ちゃんが居なくなることがあるらしい。でも結局は直ぐに見つかったから大丈夫。 新生児と、蛙の混血種との取り替え子が行われている。
16 蒲田無顕の息子(高明)は、二十五年前に失踪したらしい。 蒲田高明は、オホナリヌシの血が濃く、人前に出られるようではなくなってしまったため、珠杓宮で暮らしている。また、珠杓宮の祭司・神官でもある。
17 楢川町のイタミという人物の奇行には(夜中に喚き散らしたり、野良猫をいたぶって殺したり、墓石を蹴倒したりしている)、住人も嫌気が差しており、いずれ罰が当たる、と誰もが信じている。
18 柏嶺にまたよそ者がやってきたらしいぞ。 関口ツグミのこと。
19 楢川町に、イタミという気が触れた人物が住んでいるらしい。娘夫婦を神隠しで喪い、頭がおかしくなってしまったらしい。
20

*14


【知識の目安】
50 で、珠杓宮の場所を突き止められる程度。

  • 〈杓ヶ浦の知識〉が 81 以上になった時、現在正気度を D6 喪う。また〈杓ヶ浦の知識〉が 81 以上である限り、得られた噂の項目は事実の項目に修正され、得られる項目は全て事実のものになる。
  • PC は、〈詮索の深度〉の値を共有する。(共有の仕方はパーティーの状態に依存する。)
  • 杓ヶ浦の住人から情報収集しようとする度に、〈詮索の深度〉が 4 増える。
  • 〈詮索の深度〉の値によって、以下の事態が起こる。
出来事
0-19 特になし。
20- 頭をフードで覆って、コートを羽織り、背を大きく曲げてぎこちない歩き方をする住人が PC のあたりに姿を現すようになる。彼らは、PC の様子を観察して、珠杓宮に伝えている。監視者の数は、〈詮索の深度〉が高まるにつれて増える。
35 暗い夜道を歩くと、一人の暴漢に襲われる(戦闘)。警察に申し入れても、酒を飲んでのことだろうと取り合ってくれない。
36- 道を歩いていると、たまに石を投げられるようになる。
45- 住人があからさまに PC 達に視線を注ぐようになる。住人に情報収集を行おうとすると、そのことに注意を発したり、或いは会話から逃げようとする者が現れる。
50 暗い夜道を歩くと、三人の暴漢に襲われる(戦闘)。警察に申し入れても、酒を飲んでのことだろうと取り合ってくれない。
55- 旅館・警察の人物が非協力的になる。
70 黒田が杓ヶ浦の落とし子を使い、旅館で休んでいる PC を襲う(ギルマン・ハウス・パニック)。捕らえられると、強制的に珠杓宮に移され、牢屋に入れられてしまう。

*15


【シークエンス】

  • 公式取材として、6 日間だけ、滞在を許される。黒田を含め、柏嶺の人々は、杓ヶ浦の良い面(だけ)を見て貰おうと、PC 達が必要以上に秘密を嗅ぎ回らない限り、過剰とも思える接待をする。
  • PL は、この期間のあいだ、自由に情報収集を行う。
  • 高崎が死亡している場合、黒田は、PC 達が東京を離れているあいだに、高崎の身の回りを手始めに、花房・蛭子・岡田の身の回りを調べる。場合によっては実力を持ってオホバコを取り戻すつもりである。従って、黒田は初日を除いて杓ヶ浦には居ない。黒田が実際に蛭子らの家人に危害が及ぶまでに 6 日掛かる。
  • 高崎が死亡しておらず、PC に同行している場合、高崎は、一人になると襲われて珠杓宮に連れて行かれ、オホバコの在処に関して拷問を受ける。高崎は、その二日後の 2 x POW のロールに失敗すると、オホバコの在処を喋ってしまう。その場合、当座、高崎は生かされるが、黒田がオホバコを手に入れると用済みとして血の池の養分にされてしまう。ロールに成功した場合、秘密を守ったまま高崎は息絶える。PC たちは旅館で襲撃され、強制的に珠杓宮に移されて変わり果てた高崎と対面することになる。

【ステージ終了条件】
高崎が居ない場合、以下の全てが満たされているなら、次のステージに移ってもよい。

  • 珠杓宮の場所を突き止める。
  • 珠杓宮を壊滅させる算段を付ける。
  • 珠杓宮突入の決意を固め、準備を完了する。

高崎が居る場合、以下の全てが満たされているなら、次のステージに移ってもよい。

  • 高崎が珠杓宮の場所を知っている。
  • 珠杓宮突入の決意を固め、準備を完了する。
  • 珠杓宮を壊滅させる算段を付ける。

以下のいずれかが満たされた場合、次のステージに移る。

  • 黒田に率いられた住人に捕らえられる。

【アチーヴメント項目】
上の◆の項目以外にも、以下をアチーヴメントの対象とする。

  • ◆三人の被害者(竹田和美、甲斐弘紀、加勢浩太)全ての情報を手に入れる。
  • ◆〈杓ヶ浦の知識〉が 70 以上。
  • ◆旅館の人間の態度が硬化していない。

【最大アチーヴメント個数】
4。

【ステージ 3:地に開いた蟇口】

関口ツグミ(せきぐち・つぐみ):石牢に囚われている旅行者。全国を放浪していた。

  • 天涯孤独の身で東北の出身。千葉の企業に勤めている。
  • 岩手県・雨里村(つゆさとむら)の出身。雨里村は 5 年前に杓ヶ浦の姉妹町となった。高崎の「杓ヶ浦の荒神信仰」を読み、雨里村に伝わる伝承との類似点の多さに驚き、杓ヶ浦を訪れた。雨里村の伝承の知識から、珠杓宮を容易く見つけることが出来た。
〈杓ヶ浦の知識〉:35。


黒田万里子(くろだ・まりこ):オホナリヌシの巫女。

【能力値】
STR:14
CON:15
SIZ:10 → HP:13
INT:21
POW:23(13 人の杓ヶ浦人が、1 人無力化される毎に、1 減る)
DEX:14
APP:19 (0)
EDU:25
SAN:0
【武器】:ナイフ 55 %、ダメージ 1D6+db。
【呪文】:金縛りの念動力。(対象と POW の対抗判定を行い、成功するとその動きを、一回行動分だけ止める。マジック・ポイントを 3 消費する。)
【技能】杓ヶ浦の知識 93。
【正気度喪失】真の姿を見るなら、0/D4。


蒲田高明(かまた・たかあき):オホナリヌシの神官。

【能力値】
STR:17
CON:18
SIZ:21 → HP:15
INT:21
POW:20(13 人の杓ヶ浦人が、1 人無力化される毎に、1 減る)
DEX:14
APP:6
EDU:15
SAN:0
【ダメージ・ボーナス】D6
【武器】:こぶし/パンチ 65 %、ダメージ D3+db。
六角の錫杖 50 %、ダメージ D6+db。
【技能】杓ヶ浦の知識 98。
【正気度喪失】0/1。


蒲田無顕(かまた・むけん):蒲田高明の高齢な父。

【能力値】
STR:10
CON:13
SIZ:13 → HP:13
INT:13
POW:15
DEX:11
APP:11
EDU:15
SAN:10
【武器】:こぶし/パンチ 65 %、ダメージ D3+db。
日本刀 50 %、ダメージ D10+db。
【技能】杓ヶ浦の知識 98。


13 人の杓ヶ浦の人(じゅうさんにんのしゃくがうらじん):白い衣を頭から纏った異形の人間。

【能力値】
        STR  CON  SIZ  DEX  POW  HP
斉田(高町)  13   12   12   11   9    12
下山(小川)  12   14   14   10   10    14
赤田(山上)  12   11   15   11   10    13
伊藤(森見)  13   15   13   15   11    14
沢渡(宇野)  9    17   17   12   8    17
佐上(花山)  11   12   12   9    11    12
橋田      11   13   13   9    9    13

【ダメージ・ボーナス】+D4
【武器】:こぶし/パンチ 45 %、ダメージ D3+db。
組み付き 25 %、ダメージ 特殊。


珠杓宮内の様子は以下の通り。

  • 洞窟内は、舗装はされていないものの、何とかまともに走れる程度の幅が確保されている。壁には、一定間隔に電灯が吊されている。
  • 奥の間では、異形の姿をした杓ヶ浦人 13 人が、蒲田高明の立ち会いの下、オホナリヌシに絶え間ない合唱を捧げている。身の毛もよだつ地の底の蛙の合唱である。黒田が杓ヶ浦に居る場合、黒田もここに居る。耳にした健常者は、〈アイデア〉ロールに成功すると、正気度ロール 1/D4。奥の間に入るや否や、蒲田高明(と黒田)が PC 達に気付く。血と肉の浴槽から発した匂いが立ちこめている。
  • 石牢には、昨日攫われたばかりの関口ツグミが捕らわれている。
  • 物置には、武器代わりになる鶴橋が一本投げ出されている。そのほかに、灯油の缶が見つかる。
鶴橋の能力は、手斧の能力と同じ (p.70)。
  • ◆物置には、書き物机と記録の帳面が置かれている。持ち出すことで、杓ヶ浦の事実(上表)が全て明らかになる。
  • 入り口から 20 m 進んだ所に、門番代わりの杓ヶ浦の落とし子がおり、人の出入りを瞠っている。これを始めて目にする場合、正気度ロール 2/D6+1。始めてではない場合は 0/D2。
  • 珠杓宮から外に出ようとすると、蒲田無顕が刀を持って待ち構えている(戦闘)。


【クリア条件】
珠杓宮を壊滅させると、シナリオは終了となる。具体的には、以下のいずれかを行うことになるだろう。

  • ダイナマイトによる珠杓宮の倒壊。
  • 『坤蛙玄孫記』の呪文で杓ヶ浦人を昏倒させ、その全てを縦穴に放り込み、逃走する。

【アチーヴメント項目】
上の◆の項目以外にも、以下をアチーヴメントの対象とする。

  • ◆高崎が生還する。
  • ◆関口ツグミを解放する。
  • ◆ダイナマイトで珠杓宮を封鎖する。

【最大アチーヴメント個数】
5。


【エピローグ】
PC 達は、這々の体で柏嶺前の自分たちの乗用車で杓ヶ浦から抜け出すことに成功した。

【遺された謎】

  • 黒田万里子の出自とは?
  • 杓ヶ浦の怪物と、東北・雨里村の伝承の関係とは?

【成長】

  • 各 PC は、〈クトゥルフ神話〉の能力値を 2 上昇させる。
  • シナリオを通じて達成したアチーヴメントの数を X とする。
    • 各 PC は、D10 + XD2 だけ現在正気度を取り戻してよい。
    • 各 PC は、X だけ、〈クトゥルフ神話〉以外の能力値を自由に増やしてよい。
  • 『坤蛙玄孫記』の歌で、蒲田高明か黒田万里子を眠らせたならば、その PCは POW を 1 だけ上昇させる。

*1:本シナリオの為にキーパー(田島)が創造したキャラクター。

*2:花房は、「杓ヶ浦の怪物」以前の CoC のゲームでプレイされたキャラクターで、高崎が寄稿している雑誌の編集者。花房をプレイしたプレイヤーが、今回も花房をプレイした。今回キーパー(田島)が、花房の勤めている雑誌社・雑誌の名前を花房のプレイヤーと相談の上で決定した。「蒼星社」の「蒼い星」は、勿論地球のことであり、「ユピテル」は Jupiter で、木星。太陽系の星々から名前を取ろうと思った。恐らく、出版されている他の雑誌も、それに因んだ名前なのだろう。

*3:蛭子も、「杓ヶ浦の怪物」以前の CoC のゲームでプレイされたキャラクター。前回蛭子をプレイしたプレイヤーは、今回、高崎の親友である西(西いさを)をプレイした。以下では、「蛭子」を「西」として読み替えられたい。

*4:今回、「岡田」を作成したプレイヤーは、岡田を、高崎が親しくしているキリスト教系聖職者として創造した。フルネームは、「岡田重蔵」。

*5:「(ロールプレイのウォームアップ)」の誤り。

*6:これは実在する。

*7:「富山(とやま)」のアナグラムになっている。

*8:上の注で触れたように、実際のプレイでは、岡田重蔵という名の聖職者。

*9:「おーばこ」と読む。「オホナリヌシ」等も同様。

*10:正式名が漢語である山が、和名で読まれるのは、よくあることだ。

*11:蛙の幼体である「おたまじゃくし(お珠杓子)」から取った。

*12:蛙と柳と言えば、小野道風の逸話である。

*13:「みどり」小学校の付近に「グリーン」通りがあるのは自然なことだ。ちょっと英語を使ってみたくなるものなのだ。

*14:「真実」の欄が空白である場合、明かされる全てが「噂」で尽きていることを意味する。また、20 番目が空欄であるのは、実際にはもう情報項目を思い付けなかったから。シナリオの使用者が好きに設定されたい。

*15:「ギルマン・ハウス・パニック」とは、ラヴクラフトの小説『インスマウスを覆う影』で主人公が体験した、ホテル「ギルマン・ハウス」での襲撃のことを指す田島の造語。